その後読んだ本

 その後読んだ本を紹介します。
 『タイポグラフィの基本ルール ──プロに学ぶ、一生枯れない永久不滅テクニック』(大崎善治、ソフトバンククリエイティブ
 文字そのものの解説からレイアウト、書体の選び方や活かし方、そして文字の設計まで、タイポグラフィを使ったデザインの仕方が、とてもわかりやすく図解されています。解説も平易な言葉でまとめられているので、これからデザインを学ぶ人はもちろん、デザインが本業ではないのにレイアウトや文字組版をせざるを得ない立場(うちのような零細出……いやいや「小回りのきく」出版社)の人にもぴったりです。
 サブタイトルだけをみると大上段に構えているような印象を受けますが、大崎氏の語り口はじつに謙虚で、文字への愛情と敬意が伝わってきます。サブタイトルで損をしているような気がするなあ。
 でもこれぐらいインパクトがないと売れないのかも。ジョンストン本も、「これであなたも文字鉄だ! ジョンストンのロンドン〜」とかにしておけば、鉄道マニアにも買ってもらえたかも。反省。ところで「乗り鉄」とか「音鉄」はよく聞くけど、「文字鉄」っているのかな?


 『マンガはなぜ規制されるのか ──「有害」をめぐる半世紀の攻防』(長岡義幸、平凡社新書
 図書規制と子ども(青少年)差別を長年にわたって追い続けてきた長岡氏渾身の一冊です。アマゾンの説明には、「マンガは「有害」か?青少年条例、児童ポルノ禁止法などの規制の仕組みとマンガバッシングの歴史と現在を丁寧に解説した初めての本。」とあります。
 とにかく、悪書追放運動から現在の青少年条例まで、行政・警察が何をやってきたのかが、実際の取材や調査をもとに丹念に記述されています。あくまで長岡氏は規制反対派なのですが、とても冷静で客観的なスタンスを貫いているので、これまでの経緯を知るには最適な本だといえるでしょう。一見マンガ規制がテーマのように見えますが、読んでいるうちに「表現の自由と統制の歴史」というもっと大きなテーマが見えてきます。
 最近「非実在青少年」とか訳の分からないことが言われていますが、このままだと「マンガ」だけじゃなく、未成年の登場人物がイカガワシイことをする「小説」を持っているだけで捕まる時代がくるかもしれません。『太陽の季節』が発禁になる日も近い?

マンガはなぜ規制されるのか - 「有害」をめぐる半世紀の攻防 (平凡社新書)

マンガはなぜ規制されるのか - 「有害」をめぐる半世紀の攻防 (平凡社新書)


 あともう一冊は、『ゾラ・一撃・さようなら』(森博嗣集英社文庫)。
 これは紹介する必要もないでしょう。森博嗣氏の文庫の新刊です。もう習慣です。ぜひS&M(犀川&萌絵)シリーズ復活を望む! が、「非実在青少年」が殺人を犯すから、『すべてがFになる』もヤバイ?

ゾラ・一撃・さようなら (集英社文庫)

ゾラ・一撃・さようなら (集英社文庫)