『アンゴウ』と『剃刀日記』の製本の様子を見学してきました。
今回の製本は2冊とも “マイスターのいる製本所” 松岳社 青木製本所さんにお願いしました。
下の写真は上製本のラインです。
以下ざっくりと工程順に写真で紹介します。
まずいきなりですが、見返しに接着剤(ボンド)をつけて貼付ける機械のアップです。
このとき機械は動いていなかったのですが、わざわざパーツを組み立てていただいて、詳しく説明していただきました。
輪っかになったワイヤがボンドを運び、白い滑車部分で折丁にボンドを塗布して、見返しや前付けの別丁扉などを貼付けます。
「折丁」は、ふつう16ページ分を印刷した一枚の紙を、ページ順になるよう折り畳んだものです。
次は糸かがり機。
4本の糸で折丁が次々と縢られていきます。開きがいいので今回もやはり糸かがりにしました。
『アンゴウ』は全336ページなので21折(折丁が21個)、『剃刀日記』は全328ページなので16ページが20折と8ページ1折です。
それらを糸で縢って一冊分の中身が出来ます。
下固めのために中身の背にボンドをつけた瞬間です。二つのローラーで糊を付け、三つ目の束子のようなものが付いているローラーで余分な糊を掻き取っています。写真に写っているのは『剃刀日記』の中身です。
これは三方断裁機。中身の天地と小口を切りそろえる機械です。
これは中身にスピン(しおり紐)を付ける機械。
ちなみに今回のスピンはアサヒクロスのA32番。花布はアサヒクロスのA54番にしました。薄鼠色が美しい花布にもぜひご注目を。
丸み出しが終わった瞬間です。
今回は丸背にしました。
最近、角背みたいなカーブのゆるい丸背をよく見かけますが、松岳社さんには安心してお任せできます。
ここではまだ、花布や寒冷紗は付いていません(花布や寒冷紗、表紙包みの工程は、うまく写真に撮れませんでした)。
最後は出来上がったばかりの『剃刀日記』です。
出来たばかりの本を開く時、うれしくて少し手が震えました。
青木英一社長はじめ、松岳社の皆様、お忙しいところ誠にありがとうございました!
これに間もなく出来るジャケットと帯を巻いて出庫態勢完了です。
20日に取次店に届ける予定なので、神保町界隈の書店には早ければ21〜22日には並ぶと思います。
細かな心配りの行き届いた松岳社の皆様のおかげで、美しい本に仕上がったと思います。ぜひ書店で手に取ってご覧下さい。→烏有書林の本があるお店(リアル&ネット)