新刊案内

『百鬼夜行する中世文学:作品講読入門』

2024年3月末発行(4月10日ごろ発売)の新刊を紹介します。 『百鬼夜行する中世文学:作品講読入門』 畑中智子〔代表編者〕、中前正志〔編者〕、川渕亮子〔編者〕、高重幸枝〔コラム〕、神保尚子〔イラスト〕鬼尽くしの中世文学講座。魑魅魍魎が跋扈する妖(…

宇能鴻一郎『甘美な牢獄』

2022年8月発売、「シリーズ 日本語の醍醐味」の新刊を紹介します。 甘美な牢獄 ──シリーズ 日本語の醍醐味(10) 宇能鴻一郎「人間である最後の夜に、わたしはこの手紙を書きます。」(「甘美な牢獄」より) やむにやまれず暗い官能の洞窟へおちこんでいった…

太宰治『黄金風景』

黄金風景 ──シリーズ 日本語の醍醐味(9) 太宰治 「生きていることへの感謝の念でいっぱいの小説こそ、不滅のものを持っている。」(「感謝の文学」より) 何度も自殺未遂を繰り返した太宰は、底抜けに人を愛する、限りなく優しい男だった。心温まる話と、…

高岡昌生『〔増補改訂版〕欧文組版:タイポグラフィの基礎とマナー』

『〔増補改訂版〕欧文組版:タイポグラフィの基礎とマナー』高岡昌生日本における欧文印刷の第一人者、嘉瑞工房・高岡昌生が指南する、本格的な欧文組版解説書。 デザイナー、編集者、企業広報担当者らが実際に欧文を組むときに役立つ活きた知識が満載。文章…

吉行淳之介『廃墟の眺め』

廃墟の眺め ──シリーズ 日本語の醍醐味(8) 吉行淳之介 「私たちの行手に、また廃墟が現れてきた。」(「廃墟の眺め」より) 忍び寄る不安。胸にともる灯。世界の底から響く音。驚くほど詩的で繊細、かつ感覚的でなまめかしい吉行淳之介の傑作短篇集。 安岡…

金子光晴『老薔薇園』

老薔薇園 ──シリーズ 日本語の醍醐味(7) 金子光晴 「園は廃れた。踏み入る小径もなくなつた。」(「廃園」より) 異色の散文詩集『老薔薇園』を中心に、反骨の詩人・金子光晴の詩業を一望する。 無一文で中国、東南アジア、ヨーロッパを放浪し、冷徹な目で…

小林美代子『蝕まれた虹』

蝕まれた虹 ──シリーズ 日本語の醍醐味(6) 小林美代子 「絶望もここでは王冠のように輝いていた。」(「蝕まれた虹」より) この世のあらゆる不幸を味わい尽くし、精神病院での5年間の闘病生活から放たれた祈りの小説群。自らの狂気を見つめる目は緊迫感に…

尾崎士郎『没落時代』

没落時代 ──シリーズ 日本語の醍醐味(5) 尾崎士郎 「滝は没落の象徴である。その没落がいかに荘厳であるかということについて説こう。」(「滝について」より) ひたひたと迫りくる没落の翳。落魄への共感。坂口安吾がそのみずみずしい「香気と悲しみ」を…

『高岡重蔵 活版習作集』

*長らく品切だったこの『高岡重蔵 活版習作集』、96歳で高岡重蔵さんが亡くなって4年になりますが、このたび重蔵さん生誕100年を記念し、2021年9月に復刊します。初版を気に入ってくれた方、この機会にぜひ、お友達にお薦めください。 とはいえ純粋な新刊で…

皆川博子『ペガサスの挽歌』

ペガサスの挽歌 ──シリーズ 日本語の醍醐味(4) 皆川博子 「激しく、罰せられている。私は、罰せられている。」(「黄泉の女」より) 燦爛たる幻想。自由への憧れ。性の冒険。狂気と孤独。貴重なデビュー前の児童小説を含む、待望の1970年代単行本未収録作…

藤枝静男 『田紳有楽』

田紳有楽 ──シリーズ 日本語の醍醐味(3) 藤枝静男 「午後八時、日没とともに床に入る。腹がへったので右脚を切って食い、明日の活力にそなえてストロンチウム90を十錠飲んで平和な眠りにつく。」(「静男巷談」より) 私小説が「私」を超えたとき、なにが…

石川桂郎『剃刀日記』

剃刀日記 ──シリーズ 日本語の醍醐味(2) 石川桂郎 「死人の顔を一度剃ったことがあった。」(「薔薇」より) 嘘か真か、日常に虚構がまぎれ込む、石川桂郎面目躍如の珠玉短編集。 家業の理髪店を営むかたわら、小説や随筆をものした俳人・石川桂郎の第一著…

坂口安吾『アンゴウ』

アンゴウ ──シリーズ 日本語の醍醐味(1) 坂口安吾 「私は生き生きと悲しもう。」(「ふるさとに寄する讃歌」より) ほとばしる才気、あふれ出る詩情、青い安吾がここにいる。 坂口安吾の詩情あふれる初期の作品を中心に、これまであまり単行本に収録されて…

『ジョンストンのロンドン地下鉄書体』ジャスティン・ハウズ/後藤吉郎 訳

『ジョンストンのロンドン地下鉄書体 ── Johnston’s Underground type』ジャスティン・ハウズ/後藤吉郎 訳最もロンドンを感じさせる書体、“ジョンストン・サンズ”。その書体設計者であるエドワード・ジョンストンの果たした役割、成果の詳細を紹介する。 エ…

『欧文活字』その2 内容について

『欧文活字』その1では印刷について書いたので、今回は本の内容について書きます。 まず巻頭付録では、著者である高岡重蔵さんのご子息、『欧文組版 組版の基礎とマナー』(美術出版社)でもお馴染みの高岡昌生さんの活版原版刷作品4点を収録しました。 S. H…