「日本語の醍醐味」

宇能鴻一郎『甘美な牢獄』

2022年8月発売、「シリーズ 日本語の醍醐味」の新刊を紹介します。 甘美な牢獄 ──シリーズ 日本語の醍醐味(10) 宇能鴻一郎「人間である最後の夜に、わたしはこの手紙を書きます。」(「甘美な牢獄」より) やむにやまれず暗い官能の洞窟へおちこんでいった…

太宰治『黄金風景』

黄金風景 ──シリーズ 日本語の醍醐味(9) 太宰治 「生きていることへの感謝の念でいっぱいの小説こそ、不滅のものを持っている。」(「感謝の文学」より) 何度も自殺未遂を繰り返した太宰は、底抜けに人を愛する、限りなく優しい男だった。心温まる話と、…

石川桂郎『剃刀日記』あと5冊に

石川桂郎『剃刀日記』の在庫、美本があと5冊に。これからは一度書店さんから返品になった本(あと100冊ほど?)を改装して出庫することになります。ただ、ジャケットの予備が少ないので何冊出庫できることやら……。もしいつか読もうと思ってそのままになって…

「薔薇販売人」+もひとつおまけのカラス

ここのところ読書日記&他社本紹介ばっかりで、また烏有本の宣伝がすっかりお留守になってた。あげくにカラス尽くしとは。。。とはいえ、今年はあまり話題がないんだなあ。— 烏有書林 (@uyushorin) 2018年11月21日 今年の新刊、吉行淳之介『廃墟の眺め』の売…

『老薔薇園』のタイトル書体

石井宋朝体、うちの金子光晴『老薔薇園』のタイトルで使った文字です。最初は金属活字の長宋体(津田三省堂)を使おうと清刷りを依頼したら、名古屋活版さんがすでに母型を破棄してしまった後で、慌てて写植で打ってもらいました。タイトル用に、シャッター2…

『廃墟の眺め』まもなく発売

新刊、吉行淳之介『廃墟の眺め』の取次店用の見本が届きました。 とても端正な、いい本に仕上がったように思いますが、いかがでしょう。 本納品は来週、23日に八木書店さん、24日に各取次店さんに入る予定なので、来週後半あたりから書店店頭に並び始めます…

吉行淳之介『廃墟の眺め』

廃墟の眺め ──シリーズ 日本語の醍醐味(8) 吉行淳之介 「私たちの行手に、また廃墟が現れてきた。」(「廃墟の眺め」より) 忍び寄る不安。胸にともる灯。世界の底から響く音。驚くほど詩的で繊細、かつ感覚的でなまめかしい吉行淳之介の傑作短篇集。 安岡…

MARUZEN&ジュンク堂書店梅田店で『小さな出版社のもっとおもしろい本』フェア

1月20日から、MARUZEN&ジュンク堂書店梅田店で『小さな出版社のもっとおもしろい本』フェアが始まりました。 このフェアは、サンエイムック『小さな出版社のもっとおもしろい本』の中から、梅田店の文芸書担当者が興味をひかれた本をセレクトしたもの。その…

『老薔薇園』まもなく発売

今日、11月の新刊、金子光晴『老薔薇園』の取次店用の見本が届きました。 415ページはこのシリーズでも最多のページ数。ずっしり重いですが、詩が中心なので意外とすんなり読めると思います。 来週中には本納品・各取次店に入る予定なので、11月初頭から書店…

金子光晴『老薔薇園』

老薔薇園 ──シリーズ 日本語の醍醐味(7) 金子光晴 「園は廃れた。踏み入る小径もなくなつた。」(「廃園」より) 異色の散文詩集『老薔薇園』を中心に、反骨の詩人・金子光晴の詩業を一望する。 無一文で中国、東南アジア、ヨーロッパを放浪し、冷徹な目で…

ジュンク堂池袋店で『小さな出版社のおもしろい本』フェア

2月16日から、ジュンク堂書店池袋本店の9階カウンター前で『小さな出版社のおもしろい本』フェアが始まっています。→ジュンク堂書店Webページ サンエイムック『小さな出版社のおもしろい本』については(烏有ブログ2014-12-24)でも少し紹介しましたが、ジュ…

紀伊國屋書店 新宿本店・南店にて

今日、新宿の紀伊國屋書店さんを回ってきました。 本店4階にある紀伊國屋ホールでは、ちょうど紀伊國屋ビル竣工50周年を記念したパネル展が開かれています。 竣工当時のビルの写真はもちろん、紀伊國屋ホールのイベントポスター、伝説の創業者・田辺茂一さん…

芳林堂書店高田馬場店にて

先日、芳林堂書店高田馬場店さんから電話で『蝕まれた虹』の追加注文があり、つい嬉しくなってお店に伺ってきました。 ずらっと新刊が並んでいる目立つ場所に平積みになっていたようですが、なんと残り一冊に。 付されているPOPがこれです。(さっそく店頭PO…

『蝕まれた虹』まもなく発売

今日、2月の新刊、小林美代子『蝕まれた虹』の見本が届きました。 いい本になったと思います。 内容はもちろんですが、パラパラとページをめくっていて、印刷もシリーズ既刊分の中で一番の仕上がりだと感じました。どのページを開いても黒みがほぼピッタリ揃…

小林美代子『蝕まれた虹』

蝕まれた虹 ──シリーズ 日本語の醍醐味(6) 小林美代子 「絶望もここでは王冠のように輝いていた。」(「蝕まれた虹」より) この世のあらゆる不幸を味わい尽くし、精神病院での5年間の闘病生活から放たれた祈りの小説群。自らの狂気を見つめる目は緊迫感に…

『没落時代』の書評2

月刊『ダ・ヴィンチ』11月号(10/6発売)に尾崎士郎『没落時代』の紹介記事が載りました。 「(略)全集未収録作11編を含む短編集。人の心情に深く実直に切り込んだ、真摯な文学作品ばかり。」 記事全文は「ダ・ヴィンチ電子ナビ」注目の新刊コーナーで読め…

『没落時代』の書評

『週刊ポスト』10月4日号の書評欄で尾崎士郎『没落時代』が採り上げられました。評者は作家・嵐山光三郎氏です。一部抜粋させていただきます。ありがとうございます! 尾崎士郎といえば、義理と人情と任侠の『人生劇場』だが、そこに至るまでは一所不在の生…

坂口安吾デジタルミュージアムNEWSで

坂口安吾デジタルミュージアムのNEWSコーナーで、尾崎士郎『没落時代』をご紹介いただきました。ありがとうございます。 8/1 尾崎士郎の短篇集『没落時代』が烏有書林から刊行されました。安吾が友情をこめて編纂した士郎の作品集『秋風と母』全篇のほか、新…

『没落時代』まもなく発売

さきほど、7月の新刊、尾崎士郎『没落時代』の見本が届きました。 来週25日に本納品、翌26日に各取次店に入る予定なので、7月最終週あたりから書店店頭に並び始めます。 いい本になったと思います。ぜひお手にとってご覧ください。 →烏有書林の本があるお店…

尾崎士郎『没落時代』

没落時代 ──シリーズ 日本語の醍醐味(5) 尾崎士郎 「滝は没落の象徴である。その没落がいかに荘厳であるかということについて説こう。」(「滝について」より) ひたひたと迫りくる没落の翳。落魄への共感。坂口安吾がそのみずみずしい「香気と悲しみ」を…

『ペガサスの挽歌』の書評

5月4日付『図書新聞』に皆川博子著『ペガサスの挽歌』の書評が載りました! 評者は幻想文学の編集者・アンソロジストとしても著名な文芸評論家・東雅夫氏です。 仄暗い恐怖と恍惚を描いた物語(略)一九七〇年から翌年にかけて同人誌「アララテ」に発表され…

朝日新聞に皆川博子さんが!

4月3日の朝日新聞夕刊に皆川博子さんの記事が載りました。なかで『ペガサスの挽歌』にも触れていただいております。 「幻想世界描き続ける83歳 皆川博子、初期作相次ぎ出版」 耽美(たんび)な幻想世界を描き続けてきた作家、皆川博子。デビュー40年を超…

『ペガサスの挽歌』の紹介記事

月刊『ダ・ヴィンチ』12月号(11/6発売)に『ペガサスの挽歌』の紹介記事が載りました! 「恐怖と美が一体となった作風が、最初期から完成されていることに驚かされる。」 記事全文は「ダ・ヴィンチ電子ナビ」注目の新刊コーナーで読めます。評者は朝宮運河…

『ペガサスの挽歌』まもなく発売

10月の新刊、『ペガサスの挽歌』ができあがりました。 さっそく皆川博子様にお送りしたところ、「本来なら消え去っている初期のものに、日を当ててくださったことを感謝しています」と過分なお言葉を頂戴しました。 来週月曜に各取次店に入る予定なので、ち…

皆川博子『ペガサスの挽歌』

ペガサスの挽歌 ──シリーズ 日本語の醍醐味(4) 皆川博子 「激しく、罰せられている。私は、罰せられている。」(「黄泉の女」より) 燦爛たる幻想。自由への憧れ。性の冒険。狂気と孤独。貴重なデビュー前の児童小説を含む、待望の1970年代単行本未収録作…

「シリーズ日本語の醍醐味」の紹介文

『東京新聞/中日新聞』(7月8日)に「シリーズ日本語の醍醐味」の紹介文が載りました。 「密度の濃い文章、描写力の作家の作品を選び、烏有書林から刊行中。(中略)各巻十編前後を収録。七北数人編・解説。」 ありがとうございます!

『田紳有楽』の紹介記事

月刊『ダ・ヴィンチ』8月号(7/6発売)に『田紳有楽』の紹介記事が載りました! 「奇想天外な『田紳有楽』で知られる鬼才・藤枝静男の傑作集が登場。(中略)その特異な歩みを俯瞰できる好企画だ。」 記事全文は「ダ・ヴィンチ電子ナビ」注目の新刊コーナー…

『田紳有楽』まもなく店頭に

6月の新刊、藤枝静男『田紳有楽』ができあがりました。 今日、各取次店に入ったはずなので、都内だと週末あたりから店頭に並び始めると思います。神保町界隈の書店にはもう並んでいるかもしれません。 いい本になったと思うのですが、いかがでしょう? ゆっ…

藤枝静男 『田紳有楽』

田紳有楽 ──シリーズ 日本語の醍醐味(3) 藤枝静男 「午後八時、日没とともに床に入る。腹がへったので右脚を切って食い、明日の活力にそなえてストロンチウム90を十錠飲んで平和な眠りにつく。」(「静男巷談」より) 私小説が「私」を超えたとき、なにが…

『図書新聞』の書評です!

前回のブログと重複しますが、4月28日付『図書新聞』に「シリーズ日本語の醍醐味」の2冊、坂口安吾『アンゴウ』と石川桂郎『剃刀日記』の書評が載りました。 評者は著名なブックデザイナーの鈴木一誌氏です。 前回「一部だけの引用は控えます」と書きました…